公益財団法人特殊無機材料研究所

2020年度事業計画

2020年4月1日~2021年3月31日

 

公益財団法人特殊無機材料研究所(AIMS)は、有機-無機変換による特殊無機材料の開発に関する研究・調査を行い、あわせてこれらに関する研究を助成し、特殊無機材料の学術の発展に寄与することを目的としている。2020年度において、有機ケイ素ポリマーを前駆体とする炭化ケイ素繊維ならびに関連する有機―無機変換による特殊無機材料に関して、下記の公益目的事業を実施する。

・有機―無機変換による炭化ケイ素繊維、及びその繊維強化複合材料の
    高性能化に関する研究開発
・有機―無機変換による特殊無機材料の研究開発
・炭化ケイ素繊維、及びその繊維強化複合材料の国際標準規格の設定
・メソポーラスシリカならびにその複合体の国際標準化の設定
・講演会・研究会等の開催による成果公開、情報交換そして研究促進
・その他(定款第4条に規定する事業)

1.有機―無機変換による炭化ケイ素繊維、及びその繊維強化複合材料の高性能化に関する研究開発、さらに特殊無機材料の研究開発
安全、省エネ、環境保全を目指す次世代航空機ジェット・エンジンの基幹高温部材として、最近、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素複合材料(SiC/SiC)が注目を集めている。SiC/SiC部材が適用されたジェット・エンジンを2030年までに実用化して本格的にマーケットに投入するには、現有の素材である炭化ケイ素繊維の性能の高度化および信頼性のさらなる向上が必要である。このためには、繊維の製造工程における、出発物質の有機ケイ素ポリマーの合成、熔融紡糸、不融化工程、焼成工程、そして製造された炭化ケイ素繊維の化学組成、微細組織構造、純度等の諸因子を精密に解析する必要がある。特に、強化繊維として期待されているチラノ繊維SAはシリコン、炭素の他に少量のアルミニウム、酸素を含有しているため、繊維の特性、性質の安定性の向上ためにそれらの原子の結合状態、微細組織構造の詳細な解析が必要である。そして、その繊維を強化材とするセラミックス複合材料の合成に関しても研究開発を行う必要がある。炭化ケイ素繊維関連の研究の以外に、有機―無機変換による新しい無機材料の研究も必要である。
上述の観点に立脚して、2020年度においては、下記のテーマに関する研究開発を計画する。
・SAチラノヘックスの繊維境界部および内部の透過型電子顕微鏡による解析(大阪産業技術研究所)
・真空封入法によるポリカルボシランの合成とその無機化に関する研究(愛媛大学)
・電気泳動堆積(EPD)法により形成した窒化ホウ素界面層がSiCf/SiC複合材料の機械的特性に及ぼす影響 (東京工業大学)
・表面制御を行った単相ナノシートと二層型ナノシートを用いたハイブリッド材料の作製とその物性評価(早稲田大学)
公益財団法人特殊無機材料研究所は研究設備も研究員も保有しないので、大学・研究機関の研究者との共同研究を行い、上述の各研究テーマに対応した基礎研究拠点の形成を目指す。(  )は共同研究機関である

2.炭化ケイ素繊維ならびにその複合成形体の国際標準規格の設定
炭化ケイ素繊維は日本発のオリジナルな材料であるが、近年宇宙・航空産業を中心として欧米や中国において注目が急速に高まりつつあり、健全なグローバル・マーケットの形成が喫緊の課題になっている。そのためには、炭化ケイ素繊維の製法、構造、性質等に関する規格を国際的に標準化して、公平かつ透明な競争と選択を可能にしなければならない。公益財団法人特殊無機材料研究所は、創成期から炭化ケイ素繊維の研究開発に関わっており、国際標準規格の設定を主導する最適任者として、ISO/TC206作業部会において広範囲な活動を展開しつつある。
2020年度は、ISOに提出し受理された「CMC強化繊維の試験方法:樹脂含浸ヤーンの引張特性の決定」原案と各国から寄せられたコメントについて、4月に行われるISO/TC206のWG4ワーキンググループで討議して修正し、最終原案まで至り、ISO国際規格制定までもっていく。

3.メソポーラスシリカならびにその複合体の国際標準化の設定
メソポーラスシリカは日本発のオリジナル材料であり、さらに近年触媒、吸着剤、バイオセンサーを中心とした産業応用と量産化がわが国で成功した。そのため、欧米、豪州、アジアでも注目が急速に高まってきたが、工業製品としての品質管理に関しては全く基準が無く、類似粗悪品等流通等により、健全なグローバル・マーケットの発展が阻害されることが」懸念されている。そのため経済産業省・産業技術総合研究所のナノテクノロジー標準化国内委員会の材料規格関連/WG4では「メソポーラスシリカの国際標準化」の提案の準備を2018年度から開始し、2019年度のISO/TC229 WGにおいてエキスパート登録を認められた。
2020年度は財団法人特殊無機材料研究所が主導して、ISO/TC229に”Specifications of characteristics and measurement methods for porous silica samples with ordered nanostructured pores”として、提案を登録する。この内容を2020年5月米国、11月の英国におけInternational Meetingにおいて提案を行ない、関係国との議論を実施する。これらの議論を通して中国、米国、ドイツなど各国からのエキスパート登録を実現し、2020年度中にInternational Standard としての整備を開始する。さらに、これらの技術内容および基礎研究の日本国内における情報交換の場を産総研等と協力して進める。

4.研究会等の開催による成果公開、情報交換そして研究促進
公益財団法人特殊無機材料研究所は、研究成果の公開、情報交換そしてさらなる研究促進をはかるために、セミナーAIMS-2020(2020年5月開催予定)ならびに有機―無機変換による特殊無機材料の研究発表会(2020年度末開催予定)を主催し、併せて「高信頼性・高耐熱先進材料」と題する講演会(2020年10月開催予定)を株式会社超高温材料研究センターと共催する。これらの講演会・研究会等の開催要領ならびにプログラムの詳細は、その都度ホーム・ページに掲載し、周知を徹底する。
また、炭素ケイ素繊維高度化プロジェクトの報告書作成及び提供を行う。

5.評議員会ならびに理事会の開催
上記1.~3.の公益目的事業を円滑に推進するために、定款の定めにしたがって下記の会議を開催する。
・定時評議員会:2020年5月開催予定、2019年度事業報告書(案)ならびに収支決算報告書(案)の審議ならびに承認、
2020年度事業計画ならびに収支予算の報告・承認
・第1回理事会:2020年4月開催予定、2019年度事業報告書(案)ならびに収支支決算報告書(案)の審議ならびに策定
・第2回理事会:2020年7月開催予定、事業の運営ならびに進捗状況の報告、監査ならびに承認
・第3回理事会:2020年10月開催予定、2020年度事業計画の進捗状況、ならびに収支予算書の審議ならびに承認
・第4回理事会:2021年1月開催予定、2020年度事業計画の進捗状況、
ならびに収支予算書(案)の審議ならびに承認
尚、定款にしたがって、開催の要望が提出されれば、上記に加えて臨時の  評議員会ならびに理事会を開催する。

6. 将来計画審議委員会
財団の主な事業として、若手研究者への研究助成が重要であり、その選考方法などの審議を行う。その他役員の若返りに関しても審議を行う。