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2021/04/01
久新 荘一郎 教授の無酸素ポリシランの論文が、米国化学会誌、Organometallicsの2020年39巻24号、12月28日に発表され表紙を飾りました。
題目: Oxygen-Free Poly(dimethylsilylene)
Soichiro Kyushin, Kazuto Mizoguchi, Tomohiro Tanaka, Takeshi Yamanobe and
Kenichi Hayashi
概要:近年、SiC/SiCセラミックマトリックスコンポジット(CMC)が高性能航空機エンジンの主要部品として採用されているため、炭化ケイ素繊維が注目を集めています。出発物質として無酸素ポリ(ジメチルシレン)を用いて性能を向上させることが期待されます。この研究では、無酸素ポリ(ジメチルシレン)の合成と特性評価が発表されています。
掲載誌:Organometallics, 39(2020) 4651-4656
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2022/10/24
「(公財)特殊無機材料研究所研究発表会」のお知らせ
日時:2022年11月28日(月) 13:00~16:00
場所:KKRホテル東京(https://www.kkr-hotel-tokyo.gr.jp/)共済会館(平安)プログラム
(1)13:00~13:10 研究発表会開催の挨拶(2)13:10~13:35
「有機-無機変換による炭化ケイ素ナノ多孔体の形成」
(愛媛大学 大学院理工学研究科 物質生命工学専攻)山室 佐益
炭化ケイ素繊維の原料物質であるポリカルボシランを高温焼成して無機化することにより,ナノサイズの開気孔を有する炭化ケイ素多孔体(以下,SiCナノ多孔体)を作製した.本発表では,SiCナノ多孔体の形成条件(焼成温度等),微細構造について報告するとともに,ナノ多孔体の形成メカニズムについて考察する.また,SiCナノ多孔体を大気中加熱した際の熱安定性ならびに余剰炭素の除去効果についても報告する.(3)13:35~14:00
「SAチラノヘックスにおける繊維断面での結晶組織の評価」
(地方独立行政法人大阪産業技術研究所応用材料化学)尾崎 友厚
SAチラノヘックス(JUTEM(株))はSAチラノ繊維(UBE(株))の繻子織物をホットプレスすることで製造されたSiC繊維結合型セラミックスである。その焼結過程でSiC繊維は円形断面から六角形断面へと変形し、境界炭素層が形成される。SAチラノヘックスでの焼結メカニズムは十分には明らかになっていないため、FIBを用いて繊維断面の薄片試料を用意し、STEMにより結晶組織を調査したので報告する。(4)14:00~14:25
「電気泳動堆積(EPD)法により形成したh-BN及び
Ti3SiC2界面層を有するSiCf/SiC複合材料の機械的特性」
(東京工業大学 科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所)吉田 克己
SiCf/SiC複合材料は,高温下において優れた耐熱性及び熱的・機械的特性を有することから,次世代高信頼性耐熱構造材料として注目されている.本研究グループでは,EPD法を利用したSiCf/SiC複合材料の界面層形成プロセスを提案し,その有効性を明らかにしている.本研究でEPD法により形成したh-BN及びTi3SiC2界面層を有するSiCf/SiC複合材料を作製し,その機械的特性を評価した.(5)14:25~14:35 休憩
(6)14:35~15:00
「pH応答ポリマーネットワークを層間に含む二層構造ナノシートの作製と
単層構造ナノシートへの変換」(早稲田大学 先進理工学部応用化学科) 菅原 義之
二種類の反応性の異なる層間(層間Iと層間II)が交互に存在する六ニオブ酸カリウムを出発物質に用い、層間Iにポリマーネットワークを原子移動ラジカル重合法で生長させた後、層間IIにテトラブチルアンモニウムイオンを導入し、超音波処理により層間IIを剥離させて、酸分解性の架橋点を含むポリマーネットワークを層間に有する二層構造ナノシートを作製した。これをpH = 4 の緩衝溶液中に分散させたところ架橋点が分解し、二層構造ナノシートが単層構造ナノシートに変換された。
(7)15:00~15:25
「繊維径の分布を考慮したSiC繊維の強度分布」(東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門) 小笠原 俊夫
単繊維引張り試験と繊維束引張り試験から推定されるワイブルパラメータの相関を実験的に調査することを目的とし、5種類のSiC繊維(Nicalon、Hi-Nicalon、Hi-Nicalon TypeS、Tyranno ZMI、Tyranno SA)を対象に、単繊維引張り試験ならびに繊維束引張り試験を実施した。繊維の直径が大きくなると強度がゆるやかに低下する傾向が認められ、体積効果が発現している可能性が示唆された。繊維束引張り試験結果から推定された形状母数(m)は、単繊維引張り試験結果と比較して高い値となる傾向が認められた。一方、尺度母数(σ0)については、単繊維引張り試験および繊維束引張り試験ともに概ね近い値が得られた。繊維束引張り試験では、個々の繊維の繊維径を考慮しなくても概ね妥当なワイブル尺度母数(σ0)が得られることをモンテカルロシミュレーションによって検証した。
(8)15:25~15:50
「無酸素ポリカルボシランの合成と紡糸」(群馬大学大学院理工学府)久新 荘一郎
無酸素ポリ(ジメチルシリレン)を用いてポリカルボシランを合成した。ポリカルボシラン中の酸素は1H NMRスペクトルにおけるメトキシ基のシグナルとして検出できることがわかった。合成したポリカルボシランは従来のポリカルボシランに比べて酸素含有量が大幅に低下する。さらにこの無酸素ポリカルボシランの溶融紡糸によって得られた繊維の酸素含有量は紡糸前の無酸素ポリカルボシランに比べてほとんど変化しないことがわかった。
(9)15:50~16:00 研究発表会閉会の挨拶
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2021/10/20
「先進・機能性材料」(AIMS-JUTEM共催)講演会のお知らせ
(公財)特殊無機材料研究所/(株)超高温材料研究センター
日時 2021年11月24日(水) 13:20~17:00
場所 株式会社超高温材料研究センター(JUTEM)山口事業所 大会議室(2階)
〒755-0001 山口県宇部市大字沖宇部573番地3
(所在地及びアクセスは次のURLをご参照下さい:http://www.jutem.co.jp )プログラム
(1)13:20~13:25 講演会開催の挨拶
(2)13:25~14:25
講演題目:「無機有機複合系の化学とナノ空間物質への展開」
講 師: 早稲田大学理工学術院 名誉教授 黒田 一幸
概 要: 炭化ケイ素繊維は有機ケイ素高分子から創製された。有機化合物の中心元素である炭素と地殻に豊富に存在するケイ素が主鎖を構成する無機有機高分子が主要な役割を担った。シリカやケイ酸塩などの多様なケイ素-酸素系物質に限っても無機有機複合系は極めて多様な物質群が存在する。本講演では、演者らの研究成果からケイ素―酸素系を中心とした無機有機複合系物質化学について述べ、その展開の一つとしてナノ空間物質創製についても紹介する。(3)14:25~14:35 休 憩
(4)14:35~15:15
講演題目 :「高温高圧処理を用いたシリカガラスの超低損失化とガラス構造」講 師:北海道大学 准教授・AGC株式会社 主幹研究員 小野 円佳
概 要:シリカガラス(SiO2)は通信用光ファイバのコア材料として広く用いられる。ファイバの光損失は、通信波長帯において0.2dB/km程度であるが、損失の大幅な低減は光信号の増幅器の節約だけでなく、中継器の作成が原理的に困難な量子通信の普及につながる可能性がある。光ファイバの損失低減は、今もなお重要な研究課題である。
我々はシリカガラスに高温下で高い圧力を印可すると、ガラスの光散乱損失が0.1dB/km以下と大幅に抑制されることを見出した。また、分子動力学計算を使ったシミュレーションから、損失の更なる低減を予測している。講演では、ガラスの構造が光損失に与える影響について議論する。
(5)15:15~15:55
講演題目:「シリコン系LIB負極材料の開発 ~JUTEMでの取り組み~」講 師:信越化学工業株式会社 群馬事業所 生産技術部 主席技術員 中西鉄雄
概要:「リチウムイオン二次電池(LIB)は携帯端末のバッテリーとして登場してから、今や電気自動車の重要な動力源となっている。当初、負極材料としては炭素系材料が主流であったが、小型化、大容量化などの要求からさらに高容量の材料が求められ、シリコン系負極材の採用が検討されるに至った。電池材料とは無縁であった弊社がシリコーンオイルの原料である珪素に着目し、開発当初においてJUTEMの試作装置を用いて検討した事例について紹介する。」
(6)16:10~16:50
株式会社超高温材料研究センター見学会1.開催要領:
・本講演会は現地開催を行うと同時にWeb配信するハイブリッド形式にて開催いたします.
・Web配信システムには、「Microsoft Teams」を使用します.
・Web配信を希望される人数にもよりますが、ご質問される時のみ画像・音声を繋げて下さい.
・Web配信を希望される方は、申込みの際、ご招待を希望されるメールアドレスもご記入下さい.
・新型コロナウィルス感染状況次第では、Web配信のみとさせて頂くこともございます.その際には、事前にご案内差し上げます.講演会終了後、同会議室にて懇談会(17:00~18:00)を開催致します.2.申込み先:
・(株)超高温材料研究センター: https://www.jutem.co.jp/contact/
・ご質問内容欄にAIMS/JUTEM共催セミナー参加希望と明記下さい.WEB配信希望で、アドレスが異なる場合は、そちらもご記入ください. 講演会の参加料は無料です. ※懇談会の参加費は1,000円です.軽食として仕出し弁当を準備致します.酒類は提供せず感染防止に留意して行います.なお,懇談会参加料の領収書が必要な方は、その旨、お申しつけ下さい.3.申込み期限:
・2021年11月22日(月)4.注意事項:
・新型コロナウィルス感染予防対策として、入場前の検温にご協力下さい。体温が37.5℃以上の場合、入場をお断りしますので予めご了承下さい.
・入場の際には、手の除菌とマスクの着用をお願いします.・申込みその他ご不明な点などございましたら、以下にお問い合わせ下さい.
(株)超高温材料研究センター 山口事業所 本社 青廣克明、営業部 藤本達子
電話番号:0836-51-7160、FAX番号:0836-51-7165
電子メールアドレス:aohiro@jutem.co.jp
電子メールアドレス:fujimoto@jutem.co.jp(公財)特殊無機材料研究所 事務局長 澁谷 昌樹
電話番号:070-4443-4151
電子メールアドレス:m.shibuya@aims.or.jp
以上
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2020/10/19
11月6日(金)に行われるケイ素化学協会シンポジウムで本財団評議員群馬大学大学院理工学府 久新荘一郎教授が講演されますのでお知らせいたします。
http://www.sscj.jp/symposium/24th_symposium.htm
講演題目:古くて新しいポリシラン、オリゴシランの研究
概要:ポリ(ジメチルシリレン)(PDMS)は1949年に初めて合成され、現在、炭化ケイ素繊維の出発原料として用いられている。炭化ケイ素繊維を用いるCMCは航空機エンジンの材料として注目を集めており、さらなる機能向上が求められている。本講演では炭化ケイ素繊維の開発の歴史を説明し、それを踏まえて今後の機能向上に寄与すると考えられる無酸素PDMSの合成を説明する。また、PDMSのケイ素原子数が10個のオリゴシランが両親媒性物質でないにも関わらず、単分子膜や二分子膜を容易に形成することについても説明する。
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2019/09/10
「高信頼性・高耐熱先進材料」(AIMS-JUTEM共催)講演会のお知らせ
この度超高温材料研究センターと共催で「高信頼性・高耐熱先進材料」講演会を開催しますので、ご来聴いただきますようご案内申し上げます。
講演会のご参加は、「お問い合わせ」からお申し込み下さい。日 時 : 2019年10 月25日(金) 13:20~16:30
場 所 : 株式会社超高温材料研究センター(JUTEM)山口事業所
〒755-0001 山口県宇部市沖宇部573番地の3
TEL:0836-51-7007、FAX:0836-51-7011 < http://www.jutem.co.jp/>プログラム
(1) 13:20~13:25 講演会開催の挨拶
(2) 13:25~14:10
講演題目:「マイクロ引き下げ法による融液成長を利用した材料開発の新展開」
講師:東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)准教授 横田 有為概要: マイクロ引き下げ(µ-PD)法は、坩堝内部の溶融原料を底部の穴から引き下げることで単結晶を育成する手法である。我々は、µ-PD法を改良することで、高融点金属を融液から直接線材化する技術を実現した。当該技術は、従来法では加工が困難であった難加工性金属においても線材化が可能であり、新たな金属線材製造技術として期待されている。また、µ-PD法は高速結晶成長が可能であることから結晶材料の探索手法として利用されてきており、当日は、当該技術を用いて我々が開発した新規結晶材料に関しても紹介する。
(3) 14:10~14:55
講演題目:「電気抵抗率を制御できる新しい抵抗体用複合材料の開発」
講師:和久 芳春
(株)超高温材料研究センター技術顧問
東北大学 未来科学技術共同研究センター シニアリサーチ・フェロー概要: 一般に広く用いられている Ni-Cr合金等の金属抵抗材料の電気抵抗率は材料毎に一定であり、所望の電気抵抗を得るためには断面積と長さで調整する必要がある。そのため、変電所等に設置されている抵抗器は必然的に大型化し、インダクタンスが高く、設置面積が限られる場所での導入が困難となっている。著者らは、新しい発想の抵抗材料を追及する中で、導電物質の扁平状Ni-Cr合金粒子と絶縁物質であるガラスに複合化することによって、体積抵抗率を調整できることに着目し、複合材料抵抗体として活用を見出した。この複合材料抵抗体を用いて1/100モデル抵抗器を作製し,特殊鋳鉄抵抗体を用いて製作した中性点接地抵抗器と比較を行った.その結果,容積,重量,およびインダクタンスにおいて,従来の抵抗材料を使用した抵抗器に比べて格段に優れていることを確認した。
(4) 14:55~15:10 休 憩
(5) 15:10~16:00
講演題目:「超軽量スポンジ構造Si/SiC多孔質セラミックスの開発(高効率な3次元光触媒フィルターなどに適用)」
講師:工学博士 谷 英治(元産業技術総合研究所九州センターグループ長)概要:超軽量でスポンジ構造の3次元Si/SiC多孔質セラミックスを開発しました。Si/SiC多孔質セラミックスは、シリコンと炭素との反応焼結法とシリコンの溶融含浸法を組み合わせて製造されており、原料のポリウレタン・スポンジと同じ形状です。この多孔質セラミックスの応用例として、光触媒(酸化チタン)をコーティングすることにより、可視光でも汚染物質を分解できる高効率の3次元光触媒フィルターについてのお話をさせて戴きます。
(6) 16:00~16:30
JUTEM見学会終了後 懇親会(16:30~19:00)
会費:1,000円
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2019/03/14
セミナーAIMS-2019のお知らせ
この度、株式会社三菱総合研究所の研究理事である理学博士亀井信一氏を講師にお迎えして、本研究所恒例の
セミナーAIMS-2019を開催しますので、ご来聴いただきますようご案内申し上げます。プログラム
日時:2019年5月20日(月) 14:30-16:00
場所:学士会館 301号室
〒101-8459 東京都千代田区神田錦町3-28
TEL:03-3292-5932 FAX:03-3292-2779講師:亀井 信一 氏
株式会社三菱総合研究所 研究理事 理学博士題目:「課題解決をリードし未来を拓くマテリアルの底力」
現在、人工知能(AI)にビッグデータ、フィンテックにIoTとデジタルイノベーション流行である。ソフトを中心としたデジタルな世界が世界を席巻しているように見える。世界の時価総額の上位企業の顔ぶれの変遷を見ればその様子がわかる。わが国のモノづくり企業は消え、GAFAに代表される企業群が席巻している。しかし、話はそう簡単ではない。イノベーションの先進地であるシリコンバレーにおいても、モノの世界の方がデジタルイノベーション展開の律速になってしまっている。時代は常に変化している。要は、ハード、ソフトと区別するのでななく、これらが繋がって初めて新しい価値が生まれるのである。本講演では、その鍵をマテリアルが握っていることを示すとともに、今後の方向性についても考察する。
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2018/11/19
炭化ケイ素繊維高度化プロジェクト・ワークショップ
開催日時:平成30年12月25日(火)13:00-17:00
開催場所:学士会館、2階、310号室
東京都千代田区神田錦町3-28
電話 03-3292-5936講演発表:
・13:00―13:50
鈴谷 賢太郎(日本原子力研究開発機構J-PARCセンター)
「低酸素SiC繊維の電子状態計算」・13:50-14:40
成澤 雅紀(大阪府立大学工学研究科)
「超耐熱性炭化ケイ素繊維におけるアルミ周辺環境の分光学的評価」・休憩 14:40-14:50
・14:50-15:40
山室 佐益(愛媛大学大学院理工学研究科)
「コロイド状ポリカルボシランの液相合成とその有機-無機変換によるSiC化に関する研究」・15:40-16:30
吉田 克己(東京工業大学科学技術創成研究院先導原子力研究所)
「炭化ケイ素セラミックスの微構造に及ぼすアルミニウム、ホウ素及び炭素の添加効果に関する研究」
総合討論: 16:30-17:00