公益財団法人特殊無機材料研究所

2025年度事業計画書

(2025年4月1日―2026年3月31日)

 

公益財団法人特殊無機材料研究所は炭化ケイ素繊維および関連する特殊無機材料の研究開発の発展に寄与するために、2025年度は以下の公益目的事業を実施する。

1) 炭化ケイ素繊維に関する基礎研究
 炭化ケイ素繊維とその複合材料の高性能化については、当研究所で開発以来、研究を進めてきた。例えば、ポリカルボシラン繊維の不融化法として、当初は熱酸化不融化を行ったが、酸素含有量を減らすために電子線不融化に改善した。最近ではさらに酸素含有量を減らすことを目的として、無酸素ポリ(ジメチルシリレン)の合成を報告した。しかし炭化ケイ素繊維とその複合材料には依然として課題が多い。ポリカルボシランや炭化ケイ素の構造や生成機構が確立していないこと、コストが非常に高いこと、ポリカルボシラン繊維が非常にもろいこと、セラミックス基複合材料(CMC)用マトリクスとしてStarfire Systems製のAHPCSが市場で得られる唯一のマトリクスであり、代替品がないことなど、多数の課題がある。これを改善、解決するための研究を進める予定である。具体的なテーマの例は以下のとおりである。
・ポリ(ジメチルシリレン)から炭化ケイ素への熱反応機構の解明
・ポリカルボシランの構造の解明
・ポリ(ジメチルシリレン)の末端基の違いがポリカルボシランの構造や物性に及ぼす影響の解明
・ポリカルボシラン以外の前駆体ポリマーを用いる炭化ケイ素の生成

2) 炭化ケイ素繊維および関連する特殊無機材料に関する研究への助成
 炭化ケイ素繊維および関連する特殊無機材料に関する研究開発の活性化を促し、特に若手研究者の参入・育成に寄与するために、研究助成を公募する。概要は以下のとおりである。

対 象: 炭化ケイ素繊維および関連する特殊無機材料に関する以下のような研究開発。新たな研究者の参入を歓迎する。

・従来の耐熱材料より優れた性質を示す材料を合成するための新規前駆体ポリマー(有機ケイ素ポリマーなど)の開発

・炭化ケイ素繊維、前駆体ポリマー(ポリカルボシラン)、複合材料(CMC)の構造、物性、新たな用途に関する研究

・炭化ケイ素繊維に関連した耐熱材料の開発、その構造、物性、新たな用途に関する研究

金 額: 1件50万円
周 知: 2025年7月に本研究所ホームページで公開する他、日本セラミックス協会、日本化学会、粉体粉末冶金協会、日本金属学会、ケイ素化学協会に会員へのアナウンスを依頼する。
採択後: 採択者には報告書の作成と研究発表会での発表をしてもらう。

 

3) 炭化ケイ素連続繊維誕生50周年記念講演会の開催
 炭化ケイ素繊維の最初の論文が矢島聖使教授らによって発表されたのは1975年であり、今年度は50周年に当たる。そのため、毎年11月~12月に行っている特殊無機材料研究所講演会の代わりに、今年度は炭化ケイ素連続繊維誕生50周年記念講演会を開催する。概要は以下のとおりである。

名 称: 炭化ケイ素連続繊維誕生50周年記念講演会
主 催: 公益財団法人特殊無機材料研究所
協 賛: 日本セラミックス協会、日本化学会、粉体粉末冶金協会、日本金属学会、ケイ素化学協会に依頼する。
日 時: 2025年11月~12月の午後
場 所: 東京
講演会: 炭化ケイ素繊維のこれまでの歩み、現状と課題、今後の耐熱材料の目指す方向などに関する講演を5件程度行う。
懇親会: 特殊無機材料研究所役員、講演者、出席者の親睦を深め、情報交換をするための懇親会を講演会場近くで行う。

 
4) その他(定款第4条に規定する事業)
 以上の事業の他に、定款第4条に規定する事業を必要に応じて実施する予定である。

定款
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)特殊無機材料及びその応用に関する研究並びに調査
(2)特殊無機材料及びその応用に関する研究用材料の製造並びに供給
(3)特殊無機材料及びその応用に関する研究の助成
(4)その他この法人の目的を達成するために必要な事業