日 時 : 2018年1 月16日(火)13:30~16:30
会 場 : 日本化学会化学会館601B
      http://www.chemistry.or.jp/access/index.html
     〒101-8307 東京都千代田区神田駿河台1-5
     TEL 03-3292-6162、 FAX 03-3292-6318

プログラム:
(1)13:35~14:05 話題提供
題目:「パージメチルシラン(PDMS)の過去・現在・将来」
講師:日本曹達株式会社 二本木工場 主幹研究員 林 謙一
要旨:ケイ素のポリマーであるポリシラン類は、ケイ素鎖に由来する電子特性により、電子材料等への展開が図られてきた。側鎖にメチル基を有するパージメチルシラン(PDMS)は、ポリシラン類の中では初期(1949年頃)に合成されたが、その高い対称性に由来する難溶性のため、材料活用がなかなか進まなかった。1970年代になると東北大学の矢島聖使教授により、PDMSの熱分解を経る炭化ケイ素(SiC)繊維への活用が見出された。現在では、SiC繊維をセラミックス複合材料の強化繊維として用いた高温部材が新型航空機エンジンに採用されることとなり、注目を集めている。弊社は、ナトリウム(Na)の電解製造を祖にする会社であることから、(公財)特殊無機材料研究所から依頼を受け、弊社の製品であるNaを用いて、PDMSを製造してきた。現在では、世界で唯一のPDMS製造のメーカーとなっている。最近になって、SiC繊維の原料以外の用途として、金属触媒担持体への適応が研究されている。その金属触媒は、これまでの触媒にないリサイクル性と反応選択性を兼ね備えており、医薬品のフロー連続合成に必須な触媒として、注目されている。PDMSの歴史を述べるとともに、最近の研究を紹介し、PDMSの過去・現在・将来について話題提供する。

(2)14:05~14:35 話題提供
題目:「Si-O-C基セラミックスの二次電池負極材への応用についての国内外の取り組み」
講師:大阪府立大学 工学域 物質化学系学類 准教授 成澤 雅紀
要旨:Li二次電池の負極としての、Si-O-C基セラミックスの有用性は1990年代に見いだされ、炭素材料を超える可逆容量とSiを含む材料としては珍しい複数回サイクルに耐えうる充放電特性が、注目されてきた。吸蔵メカニズムが未知であることから進展は長らく限定的であったが、近年、焼成雰囲気制御、ナノ複合化、第一原理計算など、新規な観点からの研究、報告が活発化している。Si-O-C基セラミックス負極材の特徴と国内外における取り組みを紹介する。

(3)14:35~14:45 休憩

(4)14:45~15:15 講演
題目:「SiC連続繊維のサプライヤーから見た最近のCMC動向」
講師:NGSアドバンストファイバー株式会社 技術部長 岡村 光恭
要旨:2012年に日本カーボン株式会社からニカロン事業の譲渡を受け、NGSアドバンストファイバー株式会社が設立されてから、はや5年が経過した。当初は「CFMインターナショナル製LEAPエンジンにCMCが採用される予定」という状況であったが、2017年現在、弊社SiC連続繊維を用いたCMCを使用したLEAPエンジンがエアバスA320NEO及びボーイング737MAXに搭載され、商用飛行している。この5年の変化を振り返りながらサプライヤーから見た最近のCMC動向を紹介する。

(5)15:15~16:15 講演
題目:「SiC/SiC複合材の高温評価技術の革新」
講師:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)
構造材料研究拠点/表面界面キネティックスグループ長 下田 一哉
要旨:SiC/SiCは軽量かつ突出した耐熱性・耐酸化性に加え潜在的に低誘導放射化特性を有することから近年航空機のジェットエンジン部材や先進軽水炉の燃料集合体の構造部材としての利用が期待されている。本講演では、SiC/SiCの評価として系統的に説明を加え、NIMSで行っている最近の評価法や評価技術について説明する。特に、高温その場評価技術や水蒸気環境下での評価技術についての革新について詳細を紹介する。