日 時 :2017年1 月19日(木)、13:30~16:30
場 所 :東工大田町キャンパス多目的室(2号室) http://www.titech.ac.jp/maps/tamachi/index.html

講 演 :
(1) 13:40~14:10 「パージメチルシラン(PDMS)の紹介」
日本曹達株式会社 二本木工場 生産技術研究所
林 謙一
要旨:
ケイ素のポリマーであるポリシラン類は、ケイ素鎖に由来する電子特性により、電子材料等への展開が図られてきた。側鎖にメチル基を有するパージメチルシラン(PDMS)は、
ポリシラン類の中では初期(1949年頃)に合成されたが、その高い対称性に由来する難溶性のため、材料活用が進まなかった。
1970年代になると東北大学の矢島聖使教授により、PDMSの熱分解を経る炭化ケイ素繊維への活用が見出された。弊社は、ナトリウム(Na)の電解製造を祖にする会社であることから、
(公財)特殊無機材料研究所から依頼を受け、弊社の製品であるNaを用いて、PDMSを製造してきた。現在では、世界で唯一のPDMS製造メーカーとなっている。
このPDMSについて、これまでの歴史を述べるとともに、最近の需要動向並びに金属触媒担持体への活用等の研究事例を紹介する。

(2) 14:10~14:40 「有機ケイ素系ポリマーの活用によるアルミニウムとセラミックスの接合法」
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
北 憲一郎
要旨:
従来、アルミニウムとセラミックスの接合は、ハロゲンフラックスや活性金属を用いた前処理工程を必要とする、工数とコストがかかる技術であったが、
接合面に有機ケイ素系ポリマーを用いることにより、これらの接合が容易に行われることが判明した。有機ケイ素系ポリマーを用いて作製した、
これらの接合体における接合層の組成や組織観察結果について、また4点曲げ強度や熱伝導率等の特性調査結果について紹介する。

(3) 14:40~15:10 「SiC系セラミックスの中性子照射損傷」
東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所
吉田 克己
要旨:
炭化ケイ素(SiC)系セラミックスは、航空宇宙産業、原子力・核融合分野、高温ガスタービン等のキーマテリアルとして国内外において研究開発が進められている。
原子力・核融合分野では、SiCを被覆したTRISO型被覆燃料粒子が高温ガス炉燃料として用いられており、SiC基繊維強化複合材料は先進核融合炉ブランケット構造材料や
ジルカロイに替わる軽水炉燃料被覆管としての応用が期待されている。本講演では、SiC系セラミックスの中性子照射損傷について概説する。

(4) 15:10~15:25 休憩

(5) 15:25~16:10 「軽水炉事故耐性SiC炉心材料の開発」
株式会社 東芝 電力・社会システム技術開発センター
須山 章子
要旨:
近年、原子力発電所の安全性向上の一環として、軽水炉炉心材料に耐熱性・耐酸化性・損傷許容性に優れたSiC/SiC複合材料の適用が期待されている。
東芝では、SiC/SiC複合材料のマトリックス製造方法として、高純度で化学量論組成の結晶構造が得られる化学気相浸透法(CVI)を用いて、
SiC/SiC複合材料による炉心材料開発を進めている。本講演では、CVI-SiC/SiC複合材料の構成材料であるSiC繊維、界面材料、マトリックス材料の300℃高圧水中における水熱腐食特性評価を中心にSiC炉心材料開発について紹介する。