日時:2022年11月28日(月) 13:00~16:00
場所:KKRホテル東京(https://www.kkr-hotel-tokyo.gr.jp/)共済会館(平安)

プログラム
(1)13:00~13:10 研究発表会開催の挨拶

(2)13:10~13:35 
「有機-無機変換による炭化ケイ素ナノ多孔体の形成」
(愛媛大学 大学院理工学研究科 物質生命工学専攻)山室 佐益
炭化ケイ素繊維の原料物質であるポリカルボシランを高温焼成して無機化することにより,ナノサイズの開気孔を有する炭化ケイ素多孔体(以下,SiCナノ多孔体)を作製した.本発表では,SiCナノ多孔体の形成条件(焼成温度等),微細構造について報告するとともに,ナノ多孔体の形成メカニズムについて考察する.また,SiCナノ多孔体を大気中加熱した際の熱安定性ならびに余剰炭素の除去効果についても報告する.

(3)13:35~14:00 
「SAチラノヘックスにおける繊維断面での結晶組織の評価」
(地方独立行政法人大阪産業技術研究所応用材料化学)尾崎 友厚
SAチラノヘックス(JUTEM(株))はSAチラノ繊維(UBE(株))の繻子織物をホットプレスすることで製造されたSiC繊維結合型セラミックスである。その焼結過程でSiC繊維は円形断面から六角形断面へと変形し、境界炭素層が形成される。SAチラノヘックスでの焼結メカニズムは十分には明らかになっていないため、FIBを用いて繊維断面の薄片試料を用意し、STEMにより結晶組織を調査したので報告する。

(4)14:00~14:25 
「電気泳動堆積(EPD)法により形成したh-BN及び
Ti3SiC2界面層を有するSiCf/SiC複合材料の機械的特性」
(東京工業大学 科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所)吉田 克己
SiCf/SiC複合材料は,高温下において優れた耐熱性及び熱的・機械的特性を有することから,次世代高信頼性耐熱構造材料として注目されている.本研究グループでは,EPD法を利用したSiCf/SiC複合材料の界面層形成プロセスを提案し,その有効性を明らかにしている.本研究でEPD法により形成したh-BN及びTi3SiC2界面層を有するSiCf/SiC複合材料を作製し,その機械的特性を評価した.

(5)14:25~14:35 休憩

(6)14:35~15:00 
「pH応答ポリマーネットワークを層間に含む二層構造ナノシートの作製と
単層構造ナノシートへの変換」

(早稲田大学 先進理工学部応用化学科) 菅原 義之

二種類の反応性の異なる層間(層間Iと層間II)が交互に存在する六ニオブ酸カリウムを出発物質に用い、層間Iにポリマーネットワークを原子移動ラジカル重合法で生長させた後、層間IIにテトラブチルアンモニウムイオンを導入し、超音波処理により層間IIを剥離させて、酸分解性の架橋点を含むポリマーネットワークを層間に有する二層構造ナノシートを作製した。これをpH = 4 の緩衝溶液中に分散させたところ架橋点が分解し、二層構造ナノシートが単層構造ナノシートに変換された。

(7)15:00~15:25 
「繊維径の分布を考慮したSiC繊維の強度分布」

(東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門) 小笠原 俊夫

単繊維引張り試験と繊維束引張り試験から推定されるワイブルパラメータの相関を実験的に調査することを目的とし、5種類のSiC繊維(Nicalon、Hi-Nicalon、Hi-Nicalon TypeS、Tyranno ZMI、Tyranno SA)を対象に、単繊維引張り試験ならびに繊維束引張り試験を実施した。繊維の直径が大きくなると強度がゆるやかに低下する傾向が認められ、体積効果が発現している可能性が示唆された。繊維束引張り試験結果から推定された形状母数(m)は、単繊維引張り試験結果と比較して高い値となる傾向が認められた。一方、尺度母数(σ0)については、単繊維引張り試験および繊維束引張り試験ともに概ね近い値が得られた。繊維束引張り試験では、個々の繊維の繊維径を考慮しなくても概ね妥当なワイブル尺度母数(σ0)が得られることをモンテカルロシミュレーションによって検証した。

(8)15:25~15:50 
「無酸素ポリカルボシランの合成と紡糸」

(群馬大学大学院理工学府)久新 荘一郎

無酸素ポリ(ジメチルシリレン)を用いてポリカルボシランを合成した。ポリカルボシラン中の酸素は1H NMRスペクトルにおけるメトキシ基のシグナルとして検出できることがわかった。合成したポリカルボシランは従来のポリカルボシランに比べて酸素含有量が大幅に低下する。さらにこの無酸素ポリカルボシランの溶融紡糸によって得られた繊維の酸素含有量は紡糸前の無酸素ポリカルボシランに比べてほとんど変化しないことがわかった。

(9)15:50~16:00 研究発表会閉会の挨拶